洋服と違う着物買取豆知識:奈良時代の衣服令が背景に

着物買取には、女性の着物だけでなく男性の着物も多く持ち込まれています。もちろん、男性用の着物も正絹のものであれば着物買取の対象となっていますので、使わなくなったものがあれば羽織袴でも紬でも、持ち込んでみるとよいでしょう。着物買取に持ち込まれる割合としてはそれほど多くはありませんが、近年では男性も着物を着ることを好む人が増えているため、意外と需要があります。

着物買取をしている業者や着物に詳しい人にとっては一般的なことですが、男性の着物の前合わせは洋服と違うため、注意が必要です。和服の場合には男女ともに右前に着ることになっており、逆に着ると着くずれやすくなったり、動きにくくなります。この場合の右前というのは自分にとって手前の方を指していますので、まず右側の見ごろを体に密着させ、その上から左側の見ごろを重ねるということになります。

洋服と違うので不便だと思われるかもしれませんが、この前合わせの決まりは歴史的な背景があります。元々は奈良時代に出された衣服令(えぶくりょう)という法令に記載されており、庶民はこのときから右前に着物を着ることが定着しています。この背景には、中国では左の方が上位であるという思想があったため、位の高い人のみが左前に着用を許されていたという説もありますし、右利きの人が多い環境の中で、普段労働をすることがない高貴な人は動きにくい左前でも問題はなく、庶民は労働の必要性から動きやすい右前を選択したという説もあります。

動きにくいという理由から右前が定着したこともあり、襟先が邪魔にならない左側が武士の刀を差す定位置になり、道を歩いていてすれ違う時に、刀同士がぶつからないように左側を通行するのが一般的になったなど、今日当たり前に考えられている動作にも理由があることがよくわかります。

着物買取では、男性用の着物にもさまざまな種類がありますが、正絹の着物であれば基本的に買取対象としています。また、帯や長襦袢など、着付けに必要な小物類も一緒に買い取っています。男性の着物は需要の割に持ち込まれる量が少なくなっていますので、親や知人などから譲り受けて着用する機会がないものや、サイズや年齢などが合わず、着られなくなった着物があればぜひ持ち込んでみましょう。できれば、セットで持ち込むようにすると、転売したときにすぐに着ることができるためにすぐに売れる可能性が高くなり、プラス査定になりやすいです。